コスモスカイオーケストラ 楽曲探訪 第3回 「Konzert fur SaGa Frontier2」

コンサートでご一緒させていただく合唱の方から、「ブログを見に行ったらテレビのことがいっぱい書いてありました」という大変優しいご指摘をいただきました。最近は特撮番組のことしか書いてないわけでね、そういうことをすっごく優しく「テレビのこと」とぼかしてくれた彼女に俺は心底感謝をしながら、今回の楽曲探訪はライブステージのメインディッシュ「サガ・フロンティア2 コンチェルト」であります。
「サガ・フロンティア2」は、1999年発売の PS1 用ゲーム。俺個人的には未経験のゲームなのですけど、なんといっても特筆すべきは、音楽が浜渦正志さんの手によるものだということ。また、ドイツ生まれの浜渦さんのサウンドトラックの曲名は、すべてドイツ語でつけられています。ということで、今回取り上げるコンチェルトの曲名もドイツ語表記であります。

これまでサガシリーズの音楽を作ってこられた伊藤賢治さんのいわゆる「イトケン節」とは好対照を成す作風で、声楽家としてのバックグラウンドを持ちながら作曲するそのメロディは、本当に生き生きとして、ときに聴く人の心を繊細に包み込み、ときにドラマの高揚感をどこまでも煽るような音のたどり方をするのです。

元の楽曲群が素晴らしいのはもちろんのこと、今回の公演で使われる編曲も楽しく感動的なものです。
編曲者は前回の公演でコンチェルト(協奏曲)のソリストを体験し、この感動をもっとたくさんのメンバーに知って欲しいという願いで、このサガフロ2 をコンチェルト形式として構成したとのことです。自分の感動体験を仲間に具体的に伝えていく場を作るというのは、素晴らしい試みだと思います。

確かに、オーケストラとのコンチェルトって、なかなかソリストとして体験する機会はありません。それがアマチュア楽家であればなおのこと。でも、そういう機会をこんな素晴らしい音楽と編曲で体験できるというのは、今回のソリストたちにとって、大きく意義のある体験になることでしょう。

さて、このコンチェルトは、3楽章形式で構成されています。
一般的なメドレーものにありがちな「あれこれ曲をたくさん詰め込みました!」っていう雑多な感じではなく、元となる楽曲を厳選し、その限られたテーマを存分に活かし、ダイナミックなソロやトッカータ風の技巧的な変奏などを織り交ぜて、一過性のものでなく、骨の髄まで楽曲を楽しめる工夫がこらされています。

まず第1楽章では、弦楽四重奏(ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロ)との協奏。四重奏の枠の中で、それぞれが優しいソロを歌いあげつつ、後半は全員が葉加瀬太郎的な感じのヴィヴィッドでスタイリッシュなアンサンブルを目いっぱい聴かせます。前半と後半で曲想がだいぶ変化するところも楽しんでほしいですね。また、弦楽四重奏だけでなく、珍しい打楽器アンサンブルのパートもあり、ヴィブラフォンのソロなんかも大人っぽい雰囲気がすごくあって楽しいです。

第2楽章は、前半と後半でソリストが変わります。前半はフルート×2 とクラリネット木管三重奏、後半は普段オーケストラでは一般的に用いられることのないサックス四重奏です。
クラシック音楽風にいえば、「スケルツォ」と呼ばれるような軽い雰囲気の楽章です。木管三重奏のかわらしい踊るようなアンサンブルののち、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンの 4本のサックスが重厚なアンサンブルとエキサイティングなソロを聴かせます。オーケストラのコンサートでサックスアンサンブルなんてなかなかないですからね。是非ここは注目して楽しんでほしいです!

第3楽章は、意外と少数のヴァイオリン二重奏。牧歌的で楽しいメロディをたどりながら、最後はポジティブで感動的な大団円を迎えます。編曲の面においても、きちんと第1楽章で提示した「Praludium」のテーマに回帰する場面があるなど、コンチェルトとしての構成の堅牢さもみせています。

このコンチェルトは、第1部のライブステージの最後に演奏されます。ライブ感たっぷりの感動をお客さんに伝えていければいいなーと思います。

とはいえ不安はいろいろ残るので、当日昼のリハでちゃんと調整したいwww