楽曲探訪 第5回「序曲のマーチ」


先日合宿に行ってきました!
千葉・内房の自然豊かで人情のある町並みの中、たくさんの課題を発掘できました。「できないところ」に落ち込むのではなく、「もっとうまくなれるポイントが見つかった!」というポジティブな気持ちで今後のラストスパートに取り組みたいと思います。


さて、今回取り上げますのは、ドラゴンクエストと言えばこのテーマ!という「序曲」。今回のコンサートでは、ドラゴンクエストV「序曲のマーチ」を演奏します。


ドラゴンクエスト好きのみなさまには、もう説明の必要がないくらいの名曲ですね。この「序曲」が初めて登場したのは、初代のドラゴンクエスト(通称ドラゴンクエストI)。作曲のすぎやまこういちさんは、この曲をなんと 5分程度で作り上げてしまったといいます。そんな短時間で作られた楽曲が、この脈々と続く名作シリーズを牽引しているなんて、本当にすごいことですね。すぎやまこういちさんの言葉によると、「5分で作った」のはなく、それまで積み重ねてきた人生分も含めて「54年+ 5分で作った」とのことです。この言葉にはハッとさせられる思いがします。人が作品を生み出す重みについて考えさせられる言葉です。僕ら演奏者がこのあまりにも有名な曲に対峙するとき、大好きな楽曲を演奏できる喜びだけでなく、こんなにも心躍る楽曲が生み出されたことに対する感謝の気持ちも忘れてはならないのです。


この「序曲」ですが、ドラゴンクエストシリーズの中で少しずつ形を変えています。一番わかりやすいのは、そのイントロですね。いわゆる「ロトシリーズ」と呼ばれるドラゴンクエストI 〜 III では、ホルンの二重奏による、中世のファンタジーを思わせるイントロでした。それがドラゴンクエストIV になると、トランペットの輝かしいファンファーレに導かれるイントロにガラッと変わります。ロトシリーズの完結を経て、新しいドラゴンクエストが始まる予感を感じさせるものでした。その後、長らくこのイントロの形式が用いられてきましたが……みなさん、最新作のドラゴンクエストIX は経験されましたか?最新作では思い切った新イントロになりましたね!東京都交響楽団の演奏によるこの新しい「序曲IX」が Nintendo DS から流れてきたとき、言い知れぬ興奮が湧き上がってきました。それでもイントロの最後は前作のファンファーレに回帰するあたり、心憎い構成をしているなーと思いました。


今回のコンサートで演奏します「序曲のマーチ」は、名前のとおり行進曲風のアレンジが施されています。スネアドラム(小太鼓)による軽快なリズムに乗せて、金管楽器が大活躍。いつ聴いても元気の出る序曲です。テーマの演奏の中で音色の変化を付けながら、ド派手にオープニングを飾りたいと思います。


ある意味においては、この曲はドラゴンクエストファンのみなさんにとっては「国歌」のようなものですから、プレッシャーも相当あります。みなさまの期待に沿える演奏になるかどうか、また今週末の練習も頑張ってきます!



※ 「もょ響アーカイブ」は、2009年に「もょもと交響楽団 活動報告」ブログで投稿したものを、一部アーカイブとして整合性がとれるよう編集して掲載します。