Distant Worlds music from FINAL FANTASY

Distant Worlds music from FINAL FANTASY

Distant Worlds music from FINAL FANTASY

買ってみました。ネットで試聴した感じもよかったのです。とにかく録音が素晴らしい!どのパートもクリアに、かつ全体に統率のとれた感じで聴けるのです。何度も何度も繰り返し聴きたいと思える録音でした。もちろん楽曲も素晴らしい。

収録楽曲は、FINAL FANTASY VII 〜 VIII 前後を中心に選ばれています。植松さんのシンフォニックサウンド極まる頃の楽曲ですね。聴き応えも相当ありました。

印象的だった楽曲について感想を書き留めてみます。

  • Liberi Fatali(VIII)

FFVIII のオープニングムービーの楽曲。突き刺さるような語感のラテン語詞も印象的ですね。コンサート形式だとオーケストラと合唱の共存はバランス的に難しいんだけど、録音が素晴らしいので合唱の存在感が際立っているように思います。合唱のパワーをひしひしと感じる演奏ですねー。
この曲、2004年のアテネオリンピックアメリカがシンクロで使ってたんだね。すごいなFF!

  • エアリスのテーマ(VII)

エアリスって、男子プレイヤーなら誰しも大なり小なり恋愛感情に近い愛を寄せたと思うのです。「大いなる福音」をマスターしたあとならエアリスには別の物語が用意されているとか、そんなデマを信じたくなるのもしょうがないです。
そんなエアリスのテーマですけど、エアリス自身のテーマというよりも、この曲を聴いて真っ先に思い起こすのは、たぶんほぼ全員がエアリスのホーリーの祈りのシーンじゃないかと思います。エアリスの美しさと可憐さ、そして理不尽な暴力への止め処ない怒り。そんなことを一気に思い起こさせる楽曲じゃないかと思うのです。
6分近くある少し長めの曲ですが、我々がエアリスの思い出に浸るには十分な長さの演奏時間かなと。終盤の Tutti はエアリス自身によって福音がもたらせれる気持ちになります。編曲もさることながら、表現力に満ち満ちた大変良い演奏だと思います。

  • Don’t be Afraid(VIII)

5拍子のビート感、弦楽器のエッジの効いた弓さばきが気持ちいい戦闘曲。この曲をゲームで聴いたときにも、戦闘のカメラワークとゆったりしたメロディ、でもそれを急くような 5拍子のビートがものすごく合っていたように思いました。FFシリーズの中でも最も好きな戦闘音楽のひとつです。大好きなだけに「俺ならここの弦楽器はこうする」とか考えちゃうんですけど、そういうのも楽しいです。この編曲は、単なる戦闘BGMとしてではなく、まるで映画の戦闘シーンをまるまる見せてくれるかのような構成になっているのもすごく好き。

  • メドレー2002(I 〜 III)

FFI 〜 III の楽曲のメドレー。どれも懐かしい選曲でうれしくなります。特にメドレーの最後、FFII の「反乱軍のテーマ」をオケで聴けるのは最高です!悲壮感を胸に秘めつつ悪に抗うこのテーマが大好きです。ホルンの吼え方が本当にうれしくなる!

  • 愛のテーマ(IV)

これはもう何度も聴いてじっくり味わってしまう。前に動画サイトで聴いた演奏はテンポが速すぎてしっくりこなかったんだけど、このくらいのテンポのほうがオケもソロも十分に歌えるように思います。最後の全合奏クライマックスに向かう rit. は、聴いてる人の涙腺を全部ぞわわーって撫でていくような感覚もあります。

  • Vamo' alla Flamenco(IX)

フラメンコギターかっこよすぎる!!!FFIX のステージのチャンバラ(○だ!△だ!→だ!)の BGM なんだけど、これはもうその枠を超えた名編曲と名演奏。単独でもどんどん取り上げていくべき楽曲じゃないかと思います。コーダの圧倒的な疾走感とかもうすごい。

  • オペラ “マリアとドラクゥ”(VI)

ゲーム中に登場したオペラを元にして構成されています。オルトロス先生は出てきません。指揮のアーニー・ロスさんのテンポ設定はだいぶ速め。オケ演奏部分で感傷的にならず、アリアやデュオを際立たせる意図があるのかも知れんです。歌詞は英語のようですが、脳内では「おおマリア おおマリア わたしの声が 届いているか」です。これは一度日本語オペラとして一幕上演しておきたいところ。
なお、ゲームのオペラと違い、最後はマリアのアリア(Aria Di Mezzo Carattere)、それにドラクゥとラルスが加わったトリオで堂々と終わります。感動的。

最近の「片翼の天使」といえば、FFVII ADVENT CHILDREN の「再臨:片翼の天使」のほうが定番になりつつありますけど、これはゲーム本編の原典版。「再臨」とは歌詞も違います。「Liberi Fatali」もそうなんだけど、とにかく合唱が素晴らしい。これをコンサートで歌詞の訴求力を増すためにどうするのかが思案のしどころですね。合唱も良いのですが、オケも牙の剥き方がすごくいい。ここぞ!ってときにしっかりパワーをもっているし、メロディ楽器や合唱の立て方もうまいなーって思います。これ俺ほんとにやんのかよ10月
ゲームのボス戦 BGM としては珍しく、全体的には「敵側の賛美」に徹した曲ですよね。セフィロスの外見的な妖艶さもさることながら、彼の生き様、存在意義、願いや賞賛が込められた歌詞も相まって、音楽すらも敵に回るという完全アウェーの状態で戦うというこの絶望感。あのボス戦はほんとすごかった!