金丸悠子ライブ

以前ここでもご紹介した、金丸悠子さんのライブに行ってきました。

会場は渋谷の CHELCEA HOTEL というライブハウスでした。金丸プロのほか、4組のアーティストが出演。時間の関係で、金丸プロの前に出演されていた「cellen」さんの演奏をじっくり聴くことができましたので、せっかくだから最初に cellen さんの感想も書いておきます。プロフィールを見たら、誕生日が一緒だったしね!せっかくの(勝手な)縁なので書くぞ。

シンガーソングライターのソロアーティストということでしたが、この日はバックバンドを従えてのパフォーマンス。いい仲間に恵まれていてうらやましかったです。cellen さんの歌を聴いて(観て)いてすごくいいなーって思ったのは、だいたいずっと聴衆の目を見て歌ってくれるところです。ライブの場数を踏んで経験が豊富なのだと思うんだけど、なんというのでしょうか、聴いてるこっちとしては、「あ、あの人ぼくのために歌ってくれてる……」みたいな感覚になるんですよね。その構図が 男 → 男 だとしても、それは純粋にうれしいものです。歌手としての表現が外に向いているというか。で、cellen さんがさらにすごいのは、適度なところでその「外に向かってる表現」が突如として内側に向かってしまうところです。別にこれは嫌な意味でも悪い意味でもなく、ある瞬間にふっとナルシズムに似たものを醸し出すように思ったのです。こういうの大事。今までずっと聴衆に向けられてたものを突如として自分の中にしまいこんで、ちょっとの時間だけ殻を作ってその中に入ってしまう感じ。ちょっとおかしな感覚かも知れんですけど、「僕のために歌ってくれてる」 → 「あ、ちょ、そんな」 → 「行かないでー!」 → 「あ、よかった、戻ってきてくれた」 みたいな。いや、なんか自分で書いてておかしいなこれ。ともかく、極めて平易で安直な例えでいうと、ちょっとしたツンデレです。こういうのって、客観的にいうとすれば、たぶん「パフォーマンスや歌唱にめりはりがある」っていうことなのかも知れません。このあたりのテクニックはすごいなって思いました。あと、特に序盤はマイクの使い方もうまかったと思います。後半で少しみられたように、マイクから口が離れてしまうと、聴こえてくる歌にムラが出てきちゃってもったいないですよね。とても興味をひかれる歌手でした。次も機会があれば是非。

さささ、金丸悠子さんの出番です。ま、まあ、これでも聴きながら読み進めていただければと。

いつもはジャズでバンドスタイルで歌っている彼女ですが、今回は初めてのソロパフォーマンス。バックバンドなし。ステージには素敵な赤いお召し物をされた金丸さんの姿があるのみ。大変な孤独感と不安感があったと思います。ディレクター厳しいな!厳しいけど、でもその方針には俺も賛成です。バンドを従えていると、どうしても客の意識や視線がバンドにも向けられてしまい、「あのギターいいな」とかいうようなソロアーティストとしては直接関係ない評価が生まれることもあり得るのですけど、完全にピンでステージに立つということは、聴衆の意識と視線はすべて彼女に向けられるのです。そういう意味でも、このステージは彼女にとって初めての勝負の場になるのです。

セットリストはこちら。

 1. mark city
 2. 桃源郷
 3. 多摩川
 4. あと何回

相当緊張していたのでしょう。そう思います。初めてのソロステージでしょうから、手探りにもなるでしょう。でもそれが徐々にほぐれて、彼女本来の歌や表現が聴衆にも届くようになっていくという過程がなんかうれしく思いました。特に彼女はトークを挟むと化けますね。一旦マイクで話をさせると、さっと自分をリセットして歌に入れるんじゃないかって感じました。もうこれから 1曲目の前からしゃべれ!な!

歌手としての金丸悠子のすごいところって、センスのいいアドリブが利くところです。さすがジャズ畑。俺なんかもカラオケのときに間奏部分でなんだか手持ち無沙汰に感じることがありますが、彼女はそこでスラスラと素敵なスキャットでメロディを紡いでいくのです。これが気持ちいい。あほみたいに気持ちいいです。

最後の「あと何回」は、もうなんともかわいいダンスを見せてくれました。ああ、この人はもう立派に表現者として市民の前に立っておられるんだなーと、同じ音楽を志す者として素直に憧れたものです。ほんとかわいい。なんぞあれは。凶器か、と思いました。この曲の最後にトラブルがあったのですけど、もうほんどライブハウスのエンジニアBU☆KKO☆ROS って思いました。でも金丸プロは見事に取り繕って綺麗にまとめやがりました。ああああもうすごい。この人はちゃんと「その先」へ進んでいくための技術や度胸をお持ちでいらっしゃる。そういうことをいろいろ感じたり、新しく知ったりしたライブでした。

さあ、今回はそんな金丸プロのダメなところを書くぞこの野郎。

(1) いいから早く公式サイト作れ
今回のライブで、会場のサイトを見て真っ先に思ったのはそれ。他の出演者は概ね自分の公式サイト(それもなんか知らんけどすげえ綺麗)を持っていて、興味をもった人に対してより多くの情報を提供しているのです。金丸プロも早く公式サイトを用意しようぜ!ブログもいいけど、次は公式サイトだ!

(2) せめてmixiコミュニティとか
まあでも、これ自分で作っちゃったらちょっと痛い子ちゃんだよね!俺が作ればいいのか。どうなんだ。わかんなーい!でももう必要だろう。公式サイトもそうだけど、広報やマーケティングの体制がもっと強力になっていくといいなって思います。

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