臨場 第9話 「傘」


倉石さんの行動は、いつも俺たちの予想の斜め上を行くのです。
例によって自宅で臨場要請の連絡を受ける倉石さん。小坂さんは電話口で「(現場へ向かう途中の)いつものところで拾います」と。これって本当はどうなんだ。倉石さんが朝だらだらしてるだけなのか、それとも実は小坂さんや永嶋くんは早番みたいなシフトで登庁をしてるから連絡を受けるのが早いだけなのか。個人的には圧倒的に前者であってほしいです。

今日の朝採り野菜は大根。え、だいこん!?倉石さんは、ふと目が合った(んだろうね)大根に「一緒にいく?」と優しく声をかけ、大胆にそれをひっこ抜き、現場到着のときにはほぼほぼすべてをボリボリ食いあさってしまっていました。さぞや小坂さんの車の中は大根くさかったことでしょうな……(ジアスターゼがたまんねえ!)

倉石さんの検視シーン、倉石さんの「おい永嶋!」っていう呼びかけだけで、永嶋くんが正しい道具を無言で渡すことができようになっていました。永嶋くんが成長しとる!(そして倉石さんが驚いている)

被害者の爪の間に繊維片がないことについて、倉石さんと小坂さんが議論を始めるのですけど、イチが途中で口を出すのがかわいいね!!「ぼくも検視の経験あるからいろいろ知ってるよ!!」みたいな!タッチーに一蹴されましたけども……

さて、捜査一課はホームレスの塩さんに容疑がかけていくのですけど、倉石さんの「俺のとは違うなァ」発動後は、倉石さん、タッチー、イチの 3人で状況証拠について捜査会議室で議論。なぜか倉石さんが一番偉そうにふんぞり返ってるし、自分の見解を否定されたタッチーは「お前の言い分だと!!あの男は誰かをかばっているということになる!!」とプンプンしちゃうし、イチの推理は今回の検視時点からまるで進歩していないし。いいなあ、仲良し三人組で議論なんて!

で、この辺から五代刑事部長の過去がクローズアップされてきます。塩さんとは大学の同期で、久しぶりに顔を合わせたのが留置場の網の内と外。五代さんと塩さんは、性格も生き方も正反対。さばさばした性格で世渡りのうまかった五代さんと、あほみたいに不器用な優しさで下手くそな生き方しかできなかった塩さんの対比。留置場という場でより鮮明に光と闇を分けているように思えて印象的でした。

一方倉石さんですが、どういうわけかホームレスのコスプレをしていました。(キュウリを食いながら) この後も何度かホームレスごっこをするのですけど、それにはちゃんと訳があったのです。塩さんのキーアイテムである「徒然草」の本や赤い傘を持ちながら、塩さんと関係する人からの接触を待っていたのです。でもこのホームレスセット、どこで仕入れてきたんだろう……

今回の取り調べでまたポカをやっちゃった坂東刑事ですけど(今回は人命に関わることなので重大です)、刑事部長にこっぴどく叱られた焦りからか、今度は検視官室に怒鳴りこんでくるのですけど、ここでまさかの対抗馬・小坂さんが。

坂東「五代部長が捜査は結了だと言ってるんだ。なのに、一ノ瀬の話じゃ検視官がちょろちょろ動き回ってるそうじゃないか」
小坂「だったらなんだって言うんですか」
坂東「何ィ?」
小坂「根こそぎ拾うのが私たちの仕事じゃないですか」
坂東「俺はこの耳で塩川の自白を聞いてるんだ。この案件はもう結了してるんだ!」
小坂「お話を伺うと、坂東さんはこのまま捜査を結了されたほうが都合がいいとおっしゃってるように聞こえますけど」
坂東「小坂ァ……!」

激昂する坂東さんと、静かに毅然と突っぱねる小坂さん。それぞれをイチ、永嶋くんがなだめて一旦休戦。その直後に小坂さんに「申し訳ありませんでした」って丁寧に頭を下げちゃうイチは、早いとこ検視官室に戻ってきたらどうかな。ねえ。4人で仲良く検視しないさいよもううううう!!でもこのシーンは正直痛快でした。小坂さん大好き。

今回のお話、ホームレスの塩さんがあまりに悲しすぎる。あほみたいに優しくて、あほみたいに生きるのが下手だったんだよなー。そんな塩さんの生き様を振り返るうち、五代さんも「友人こそ生涯の宝物」だということに気付いて、後悔の涙を滲ませます。あの刑事部長が倉石さんの前で泣くとか。そんなの。ううううううう!!俺もダメだった。メソメソ泣いちゃった。もうこれですっかり部長大好きです。

そういえば塩さんが「頭が痛い」と言った夜のシーン、雨の降る音が止み、一瞬無音の状態になってからまた雨音が聴こえてきたのですけど、あの無音が脳内出血を暗示する演出だったのでしょうか。とにかく悲しいシーンでした。このドラマは死体の描写もすごくリアルなので、塩さんの顔のメイクも黒くなって、よりリアルな悲しみが増すのです。うううつらい。

さて、来週は最終章前編です。2話連続のエピソード。やっぱ 1クールって短いよ!臨場も相棒のように 2クールやって!